税務弘報 2023年9月号
OPINION 滞納税額がある債権者からの債務免除 ―第二次納税義務における現存利益について―
経営者が会社に対する債権を企業再生上の理由で債務免除したところ,その経営者に滞納税額がある場合,債務免除を理由に会社に対して第二次納税義務を課すことができるか,が争われた高裁判決。
同条の「これらの処分により受けた利益が現に存する限度」(現存利益)の有無が争われ、現存利益なしという理由付けで結論を出した。
「本件各債務免除に『必要かつ合理的な理由』があり,『債務の免除』に当たらないと判示するよりも,現存利益の判断基準を定立し,それに基づいて結論を示す方が,射程範囲を広く捉えることができる,という価値判断を働かせたのではないか。」
「納税義務の適正な実現が重要であることは言うまでもないが,それを重視するばかりに,私法秩序に支障を来たす(本件でいえば,第二次納税義務が課され,企業再生の意義を没却させること)ことは,「私法秩序との調整」の観点をおろそかにするといわざるを得ない。」
「現存利益に関し,私的整理全般について妥当しうる判断基準を示した本判決の意義は大きいと考える。そして,本件を前提にすると,滞納税額のある経営者が債務免除をした場合,免除時点での財政状況を踏まえて第二次納税義務が課されるかどうかが決まることになろう。」
